苗字(名字)のルーツの調べ方
苗字のルーツは、名字の辞典やサイトで「由来の説」と「多い地域」を調べ、戸籍で先祖の本籍地をたどって、その土地と結びつけるのが基本です。辞典に載っている由来は、その名字全体についての説明です。自分の家に当てはまるかどうかは、戸籍や土地の記録で確かめる必要があります。
名字の歴史:明治8年に全員が名乗るように
いまは誰もが名字を持っていますが、それは明治に入ってからのことです。法務省は、名字(氏)の制度の移り変わりを次のようにまとめています(法務省「我が国における氏の制度の変遷」)。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 江戸時代 | 一般に、農民・町民は名字の使用を許されていなかった |
| 明治3年(1870年)9月19日 | 太政官布告で、平民も名字を名乗ってよいことになる(いわゆる平民苗字許可令) |
| 明治8年(1875年)2月13日 | 太政官布告で、名字を名乗ることが義務になる(いわゆる平民苗字必称義務令)。兵籍を調べる必要から軍が求めたといわれる |
| 明治31年(1898年) | 旧民法で、夫婦は同じ「家」に属し同じ名字を名乗ることになる |
| 昭和22年(1947年) | 改正民法で、結婚のときに夫か妻の名字を選ぶ形になる |
横浜市立図書館の調べものガイドは、江戸時代は多くの人が「公に」名字を名乗ることを許されていなかったと説明しています(横浜市立図書館「自分の家系を調べる」)。家の名字がいつから使われていたかは、家ごとに確かめるしかありません。
名字の由来を辞典で調べる
名字の由来は、図書館にある名字・姓氏の辞典で調べられます。国立国会図書館のリサーチ・ナビ「姓氏・苗字を調べる」では、次のような辞典が紹介されています。
| 辞典 | 内容(リサーチ・ナビの紹介より) |
|---|---|
| 太田亮『姓氏家系大辞典』 | 全国の姓氏を五十音順に収録し、起源・分布・本家と分家の関係を解説 |
| 森岡浩『日本名字家系大事典』(東京堂出版、2002) | 約6,000の名字。巻末に都道府県別ベスト30 |
| 森岡浩編『全国名字大辞典』(東京堂出版、2011) | 約7,000の名字の由来・発祥・分布 |
| 森岡浩『47都道府県・名字百科』(丸善出版、2019) | 都道府県別の名字の由来 |
| 『苗字8万よみかた辞典』(日外アソシエーツ、1998) | 約8.4万の名字の読み方 |
読み方の分からない名字は、読みの辞典から引けます。辞典ごとに収録数が大きく違うので、珍しい名字は収録数の多い辞典から当たるのが近道です。
地名から由来をたどる
岐阜県図書館の調べ方案内は、名字の8割以上が地名に由来するとされていると紹介しています(同館が『姓氏・家系・家紋の調べ方』を出典として記載。岐阜県図書館 しらべかた案内)。
地名に由来する名字なら、地名の辞典に由来が載っていることがあります。リサーチ・ナビは『日本歴史地名大系』(平凡社)と『角川日本地名大辞典』(角川書店)を挙げています。先祖の本籍地や住んでいた土地に、名字と同じ地名がないかを探してみてください。
名字の分布を調べる
その名字がどの地域に多いかは、辞典の都道府県別ランキングのほか、民間の名字サイトでも調べられます。
たとえば名字由来net は、全国・都道府県・市区町村ごとのランキングと推計人数を載せています。人数は「政府発表の最新統計データや全国電話帳データを元に独自に調査」した推計で、少ない名字は一律「およそ10人」と表示するなどの決まりがあります(名字由来net)。
分布は、先祖がどのあたりから来たかを考える手がかりになります。ただし、いまの分布は明治以降の移り住みも反映しています。分布だけで発祥の地を決めず、戸籍の本籍地と見比べてください。
自分の家のルーツは戸籍からたどる
辞典やサイトで分かるのは、その名字を持つ家全体についての説明です。自分の家がどこから来たかは、戸籍で確かめます。
- 戸籍を出生までさかのぼって集める
直系の先祖の戸籍は、近くの役所でまとめて請求できます(自分で家系図を作る方法)。 - 本籍地の移り変わりを書き出す
古い戸籍に書かれた本籍地は、先祖が暮らした土地を知る手がかりになります。 - 昔の地名をいまの地名に直す
村や町の名前は合併で変わっています。地名辞典や自治体の歴史のページで確かめます。 - 土地と名字を結びつける
その土地に同じ名字の家が多いか、名字と同じ地名があるかを調べます。
家系図職人は、昔の本籍地がいまはない地名の場合もあるため、どこの役所が管轄しているかを確かめる必要があると説明しています(家系図職人)。古い戸籍の読み方は古い戸籍の読み方と用語に、本籍地の探し方は本籍地の調べ方にまとめています。
戸籍より前は、家紋・お寺・古文書で
戸籍で分かるのは、一般に150年ほど前までです(戸籍で家系図はどこまでさかのぼれる?)。その先は、別の手がかりを使います。
- 家紋:江戸時代、名字の使用には制限がありましたが、家紋には制限がなかったため、家紋から家系をたどる手がかりになることがあります(横浜市立図書館)。くわしくは家紋の調べ方
- お寺の記録:過去帳は原則として見せてもらえません(お寺の過去帳で戸籍より前を調べる)
- 古文書:先祖の土地の宗門帳や分限帳が、県史・市町村史や国立公文書館デジタルアーカイブで見つかることがあります
調べるときの注意
- 由来は「説」です。辞典によって説明が違うことがあり、同じ名字に複数の起源が書かれていることもあります
- 有名な一族と結びつけるのは慎重に。同じ名字だからといって、その一族の子孫とは限りません。つながりを示す記録があるかを確かめてください
- 字の形にも注意。名字サイトでは、たとえば「髙」を「高」としてまとめて数えている場合があります(名字由来net)
戸籍の取り寄せや古い記録の読み解きが大変なら、調べものを任せられる代行会社もあります(代行会社の比較)。名字由来net も家系図作成のサービスを出しています。
名字由来net 家系図作成名字由来net
- 料金
- 87,780円〜(基本プラン+戸籍調査・一系統)
- できあがるもの
- 公式サイトでご確認ください
- 納期の目安
- 公式サイトでご確認ください
- 戸籍以外の調査
- 調査報告書のオプションあり(一系統 55,000円)
戸籍を自分で集めた人向けに、家系図に仕上げる部分だけを頼める「基本プランのみ」(54,780円〜)があります。
最終更新:2026-10-27